ギャルとメガブス
私は俯いた。


「……ごめん、俊くん。私、明日、引っ越すの」

「えっ!?」


今度は俊くんが驚きの声を上げる番だった。


「……どうして、早く言ってくれなかったんだよ」

「……ごめんなさい」

「何処に引っ越すの?」

「横浜」


俊くんはため息をついた。



横浜と東京。



大人ならば新幹線ですぐだと思えるのだろうけれど、私たち子供にしてみれば、とてもとても遠く感じられた。


「また、会えるよね?」


私は頷いた。

きっと会える、そう信じたかった。


「今度会ったら……曲、完成させよう」

「うん」


私たちは、握手を交わした。

その最中、また踏切が鳴り出したので、私たちは慌ててそれぞれの進む方向へと渡った。

踏み切り越しに手を大きく振り合う私たちの姿を、電車が掻き消した。

私は泣き出してしまいそうだったので、電車が通過する間に、後ろを振り向かずに無我夢中で走った。

最後に泣き顔を見られるのが嫌で、私は俊くんから逃げ出したのだった。
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