ギャルとメガブス
二週間の休暇の間、私は毎日ピアノを弾いて暮らしていた。



くしゃくしゃになった五線譜を引っ張り出してきて、繰り返しそのメロディを練習した。

そのうち、譜面を見ずとも弾けるようになったが、それでも私は五線譜を広げ続けた。



譜面を見ると、俊くんの顔を思い出す。



けれど、私は俊くんの連絡先を知らなかった。

聞いておけば良かったと後悔したけれど、もう遅い。



中途半端なメロディを弾き終えるたびに、ため息ばかり口からこぼれた。



「今度会ったら……曲、完成させよう」

「うん」


そう言って、交わした握手の手の温もりが、男の子にしては細くて長い俊くんの指の感触が、忘れられなかった。
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