ギャルとメガブス
眼科の鏡台の上に置かれた、分厚いメガネを見下ろす。


長年お世話になったものだったが、それは同時に私の足枷でもあった。

私を「メガブス」というあだ名に繋ぎ止めるための、重すぎる足枷であった。


これで、例え「ブス」は残ったとしても、メガネの「メガ」は外れることになる。


半分になったな、と思ったら、何だかおかしくて、私はくすりと笑ってしまった。


眼科の先生が、不思議そうな表情で私を見た。




新しい学校への登校初日、私は内心憂鬱だった。

前の学校での暗い経験がフラッシュバックし、朝ごはんを食べていたら、急に腹痛が襲ってきた。


「お母さん……お腹が痛いんだけど」

「あら」


母は、私の言葉を聞いて、表情を曇らせた。
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