ギャルとメガブス
「どーしたんですかぁ? 

なんか、元気ないみたいですね」


仕事中、りえが間延びした暢気な声で話し掛けて来た。


「顔色悪いですよぅ。

あ、もしかして、生理中とか?」


私は曖昧に笑って、二日酔いだと答えた。

半分は本当だから、嘘ではない。


その日、私はミスばかりしていた。

レジは打ち間違える、客に話しかけられても気づかない、その他諸々……。


こんなんじゃダメだ。

しっかりしなくては。


私生活は仕事に持ち込まないのが、カリスマ店員の私のモットーだったはず。

コーイチとケンカした時ですら、仕事中はニコニコしていられるのに。


私はそんなに弱い人間じゃない。


こんな、夢とも現実ともつかないことぐらいで……。
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