愛させろよ。
先輩も、それ以上何も言わず、練習に入った。

普段なら事細かにアドバイスをくれる先輩だが、今日は口数も少なかった。

うつむき加減に楽器を吹く先輩を、俺はただ見ていた。

ああ、なんで俺はさっきあんなことを言ったんだ。

自責の念、ってやつだ。

しかし、しばらくすると、気まずすぎる練習時間も終わった。

「相原、時間。戻るよ」

「はい」

歩き出した先輩だったが、数メートル進んだところで立ち止まった。
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