愛させろよ。
音楽室に帰ると、茉莉花先輩は俺たちを見て驚いた顔をした。

その後すぐに始まったミーティングが終わるとすぐ、茉莉花先輩は俺のところにとんできた。

俺を見上げて、耳を貸せという仕草をする。

体をかがめて耳を近づけると、先輩は背伸びしながら耳打ちした。

(藍ちゃんに何かした?)

俺はびっくりして先輩を見た。

「いえ、何も」

(泣いてるよ)

見ると、確かに桐谷先輩の目尻が光っている。

「いや、本当に何もしてないっすよ」

先輩は耳打ちをやめて言った。

「そう? ならいいけど」
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