愛させろよ。
そうとわかってはいても、俺は日曜まで落ち着かなかった。

やっと日曜日が来ると、俺は30分かけて服を選び、髪のセットに一時間かけた。

遅れると思って家を飛び出したが、時計を見間違っていたらしく、到着したのは九時前だった。

何テンパってんだ、俺。

桐谷先輩は、30分ほどして現れた。

俺を見ると、驚いた顔をした。

「早かったのね。まさか相原がもういるなんて」

シンプルな紺色のワンピースに身を包んだ先輩は、普段にも増して綺麗だった。

「先輩こそ早いですね。まだ九時半ですよ」

「早すぎたね。お店は十時からしか開かないわ」

「暇、ですね」

「すぐそこに公園があるから、そこで時間をつぶそう」

先輩は先に立って歩き出した。
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