愛させろよ。
「このホールは、音の響きが市内で一番いいらしいんで、ありがたく演奏しましょうね」

伊藤先輩は、ポニーテールを揺らしながら楽しげに歩いていく。

学校から歩いて十分。

これほど近くにこんなホールがあるなんて、知らなかった。

そのうち、誰かがクシナダを口ずさみ始めた。

一人加わり二人加わり、最後には本格的な歌合奏になった。

大声で歌いながら歩く俺たちを、道行く人たちが笑いながら見ていた。
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