愛させろよ。
スケールを駆け上がった先には、転調した最初のフレーズが待っていた。

堤先輩から、輝くものが零れ落ちた。

感動的な盛り上がり。

次第に、少しずつ落ち着いていく。

音がすっと引く瞬間が訪れた。

「私は、桐谷藍だから」

桐谷先輩は、美しく四小節間を奏で切った。

堤先輩が微笑んだ。

曲はフィナーレを迎える。
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