愛させろよ。
約束の水曜日、俺はわくわくしながら学校に行った。

ジャージに着替えて校庭に向かおうとすると、風に乗って音が聞こえてきた。

甘くてやわらかで、それでいてどこか影があって……

気づけば俺は走り出していた。

校舎の脇を、猛然と。

やっと校舎が途切れると、懐かしい後ろ姿が見えた。

「……桐谷先輩!」
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