愛させろよ。
しばらくして、一区切りついたらしく、俺は伊藤先輩のところに連れていかれた。

「加奈子、この子クラの体験終わったよ」

「ありがとう、茉莉花」

伊藤先輩は俺に向き直って言った。

「どうだった?」

あの彼女が見られて幸せだったなんて言えるはずはない。

「はい、よかったです」

吉永先輩はにこにこした。

伊藤先輩は言った。

「万一希望がかぶってクラになれなかった時のために、他の楽器も体験しとこうね」
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