愛させろよ。
何日か経ち、外の世界を見慣れてくると、徐々に桐谷先輩のことが頭をもたげてきた。

怪我をした日以来、先輩には一度も会っていない。

次会うとき、俺はどんな顔をしていればいい?

先輩は、たぶん俺の怪我を自分のせいだと思っているのだろう。

とっさに変な手の出し方をした俺が馬鹿だっただけなのに。

この大仰なギプスが、先輩の罪悪感をさらにかきたててしまうことになるのは目に見えていた。

でも、だからといって部活に行かなければ、無駄な心配をかけてしまう。

いや、待てよ。

手がこんなことになっていては、楽器が吹けない。

ああ、俺はもうどうすればいいんだ!?
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