愛させろよ。
先輩は俺の顔を見ると、構えていた楽器を下ろした。

そして、すっと俺から視線を外し、五メートルくらい先の地面を見つめた。

「ねえ相原。私のこと嫌いになったんでしょう」

急なことに俺は驚いた。

「えっ、いや全然……」

先輩は俺の言葉を遮るように言った。

「いいのよ、別に。嫌われても憎まれても、私はどうだっていい。でもね」

俺は驚き続けていた。

先輩のこと、嫌っても憎んでもないのに。
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