愛させろよ。
先輩の目から透明な玉がいくつもこぼれた。

「そもそも、私はミスから生まれたのよ」

「そんなこと……」

「本当よ。その証拠がこの目の色だわ」

深い緑の瞳は、涙に濡れて光っていた。

「桐谷蘭が遊びで外人とやったとき、避妊し忘れたんじゃない? 私ができちゃったのよ」

そういえば、蘭さん病院でそんなこと言ってたような……

でも俺は何も言わなかった。
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