愛させろよ。
「もし先輩ができてなかったら、きっと今でも蘭さんは下賤な男たちの慰みものでしたよ」

先輩は何も言わなかった。

「音楽の神に愛されてる蘭さんに再び楽器を持たせたのは、先輩なんです」

先輩は呟いた。

「そうだったの……」

俺は続けた。

「蘭さんの頭は音楽でいっぱいです。先輩の気持ちに気づかないのは、きっとそのせいです」
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