愛させろよ。
「やっぱりそうよね。だから私、吉永先輩に近づけなくて、下の名前でも呼べなくて……」

先輩はうつむいた。

「私、失礼だったわね。自分の勝手な思いこみで……」

俺は努めて明るく言った。

「大丈夫ですよ。まだ取り返しはいくらでもつきます。今気づけてよかったんです」

「そうね……」

先輩は小さく言った。

「私、死にたいってずっと思ってた」

少し間を置いて、先輩は続けた。

「でも、今日まで生きてて、よかった」
< 394 / 438 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop