愛させろよ。
しばらくして、二人は戻ってきた。

長瀬は、悲しそうでも嬉しそうでもなかった。

顔に全部出る奴なのに。

「おい、どうだったんだよ」

俺はこっそり長瀬をつついた。

「あのな。茉莉花先輩、関西の大学行くんだって。いきなり遠距離だけどどう?って言われた」

「関西か……そりゃきついな」

「うん。先輩と二年も離ればなれはつらい」

茉莉花先輩は俺たちの会話を聞いていたらしく、微笑んだ。

「寂しがってくれるんだ?」
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