愛させろよ。
悠々と登場した福田先輩は、確信に満ちた表情で棒を振り下ろした。

吹きながら、俺は懐かしく思い出していた。

ちょうど一年前のことを。

今桐谷先輩がいる席に茉莉花先輩がいて。

今俺がいる席に桐谷先輩がいて。

今大野さんがいる席には、俺がいて。

桐谷先輩はふらふらになっていて、俺は心配で気が気じゃなくて。

あの日倒れた先輩を、俺はお姫さま抱っこしたんだっけ。
< 410 / 438 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop