愛させろよ。
学校に帰る部員たちの列が見えて、俺たちは楽器を持って後に続いた。

並んで歩きながら、先輩が言った。

「ねえ相原? 去年の定期演奏会に相原も出すって聞いたとき、私絶対無理だと思ったのよ」

「はあ」

「言ったでしょう? 二ヶ月じゃ絶対間に合わないって」

一年前……。

何だか遠い昔のことのように思える。

「そうでしたね」

「でも、間に合った」
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