愛させろよ。
「それで、俺は先輩の家に楽器を届けに行って……」

俺はその後を続けられなかった。

先輩は飄々と、俺の言えなかったことを言った。

「相原が告って、私が振った」

「あうう……」

あまり思い出したい過去ではない。

先輩は取り繕うように言った。

「あの時私、相原のせいじゃない、私の問題だって言ったでしょう? あれは嘘じゃないのよ」
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