愛させろよ。
「どうして?」

「入院が無かったら、蘭さんからああいう話を聞くこともありませんでしたから」

先輩はうなずいた。

「そうかもね。そして相原があの話を聞いてなければ、私の自殺願望がなくなることもなかったかもしれない」

「そうですね」

先輩が、そろそろと俺の方に手を差し出してきた。

俺は、しっかりとその小さな手を握った。

その手はほんのりと温かかった。
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