愛させろよ。
先輩は俺の右手を撫でながら言った。

「私ね、もし相原が吹奏楽部に入ってくれてなかったら、今ごろもういないと思うの」

俺は笑って言った。

「でも、俺は吹奏楽部に入った。なんでかわかりますか?」

「え……? わからない」

「先輩の近くに行きたかったからですよ。一目見たその瞬間から、好きでした」

こっぱずかしいセリフに、俺も先輩も真っ赤になった。

「やだ……恥ずかしい」

「俺だって……こんなベタな少女漫画みたいな」
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