二人は甘い初恋関係
「小春川、俺の話…聞いてる?」
決して怒ったような感じではないけれど、不思議そうに訊ねる水城君。
私は、気まずい気持ちで視線を泳がせた。
「あ、あの…水城君との距離が近すぎて、その…緊張で教えてくれてることが頭に入って来ないんだ…。」
「あ……」
正直に事情を説明すると、水城君は私との距離を確認する。
そして次の瞬間、慌てた様子でイスと共に私から離れた。
「悪い…。いくら何でも、ちょっと近過ぎだったよな…。」
苦笑する水城君の顔、心なしか赤いような…。
差し込む夕日のせい…?
「ごめんね…。勉強に付き合ってもらってるのに、ワガママ言ったりして…。」
「そんなの、ワガママでも何でもねぇよ。気にすんな。」
水城君は優しく笑うと、先ほどよりは距離をとって座ってくれた。
それでも距離が近いけれど、これ以上…離れたら水城君が教えにくいかもしれないし…
緊張を抑えるように、私が頑張らなくちゃ。