二人は甘い初恋関係
「と、とにかく…家まで送るのは決定事項だから。帰るぞ、小春川。」


「えっ、うん……。」


そこまで断言されたら、断れない…。


戸惑いながらも、水城君の後に続いて図書室を出た。


昇降口から外に出ると、先ほどよりも少し暗さが増して、空には、ちらほらと星が瞬く。


冷たい風が頬を撫でた。


「今日、冷えるな。」


「うん…。」


あ、また…失敗。


“うん”だけじゃ、会話終了しちゃうのに…。


何か言葉を返さなきゃ、話が続いていかないじゃん…。


ガックリと肩を落とした。


「小春川って、家…どの辺?」   


「えっと、あの……」


どの辺…って説明すればいいんだろう?


場所の伝え方に戸惑っていると、水城君が気まずそうに笑う。


「あ…。小春川、まだ引っ越してきて日が浅いし、いきなり…そんな風に聞かれても答えに困るよな…。ごめん。」


「ううん、水城君は悪くないよ…。」


フルフルと首を左右に振った。


水城君が話し掛けてきてくれてるのに、上手く切り返せない私の方が悪い…。


男の子との会話の難しさを痛感しながら、心の中で溜め息を零した。


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