二人は甘い初恋関係
「…………。」
「…………。」
帰り道。
お互い、会話がないまま歩く。
せっかく、水城君に…男の子に慣れるための協力をしてもらってるのに、全く活かせてないよ…。
私は、少し俯いた。
水城君、女の子が苦手にも関わらず、我慢して協力してくれてるのに…。
今だって、きっと…こうして並んで歩くのとか、苦痛に感じてるよね…。
もう少し、離れて歩こう…。
ゆっくりと横にズレて、隣の水城君との距離を離していく。
30センチ、50センチ、1メートル…。
あまり目立たないように…と心掛けたけれど、不自然な動きだったらしく、すぐに水城君に気付かれてしまった。
「小春川、なんで俺から離れてんの?」
「えっと、近過ぎるかな…と思って…。」
「でも、いくら何でも離れすぎじゃねぇか?」
「そ、そうかな…?」
「ああ。これは…ちょっと離れすぎ。」
距離を詰めようとする水城君から、逃げるように離れようとした時…。
「小春川っ…」
その声と共に手首を掴まれた私は、水城君の方にグイッと引き寄せられた。