二人は甘い初恋関係
水城君の胸の中にスッポリと包まれる。


爽やかな匂いが鼻を掠めた。


「後ろから、自転車…来てるから。」


「えっ…」


振り向くと、自転車が後ろをスーッと通り過ぎていく姿が見えた。


そっか…。


水城君、私が自転車にぶつかりそうだったから、引き寄せてくれたんだ…。


「あ、ありがとう…。」


慌てて水城君から離れてお辞儀をする。


ドクンドクンと、心臓の音がうるさいぐらいに鳴り響いていた。


「お礼なんて、言わなくていいよ。それより、急に引き寄せたりしてごめんな。小春川、驚いただろ?」


きっと、気遣ってくれてるんだ。


前にも、保健室でベッドから落ちそうになった時、水城君に引き寄せられて、私…すごくビックリしちゃったから…。


水城君の言葉に、胸がギュッと苦しくなった。


私の不注意で迷惑かけたんだよ…?


そんな風に謝る必要なんてないのに…。


優し過ぎるよ…、水城君。


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