二人は甘い初恋関係
芽生える自覚《律矢side》
なんだよ、さっきの俺…。
小春川に、“特別”とか“素の自分でいられる”とか、“気が楽なんだ”とか、他にも色々…。
今まで女に対して言ったことがないようなことばかり、次々と口にしてた…。
しかも、自然に…というか、無意識に。
正直、自分でもビックリするぐらい。
小春川をマンションまで送った後、歩いて来た道を引き返していた俺は、クシャクシャと頭を掻いた。
まさか、小春川に“友達でいてもいいの?”なんて聞かれると思ってなかったな…。
小春川のことだから、佳織から…俺が女のことを苦手だという話を聞いて、友達でいるのは迷惑になるんじゃないか…って思ったんだろう。
さっきの表情だって、なんか…申し訳なさそうだったし。
ったく、佳織のヤツ…。
余計なこと、勝手にペラペラと喋りやがって…。
そのせいで、小春川に気を遣わせちまったじゃねぇかよ…。
「……………。」
溜め息を零した俺は、立ち止まって夜空を見上げた。