二人は甘い初恋関係

し、しまった…。


私ってば、二人を見ることに神経が傾き過ぎて、手にバッグ持っていたのを忘れてた…。


キスする二人を見た衝撃が強くて、手の力…無意識に抜けちゃったんだ……。



「そこで何してんの?」


飛んできた低い声に、ビクッと肩が勢いよく上がる。


おそるおそる視線を上げると、窓際でキスをしていた二人が私の方を見ていた。


女の子は驚いた顔、男の子は…怪訝そうな顔だ。


「あっ、えっと…」


サーッと血の気が引いていく。


背筋に冷や汗がつたった。


ど、どうしよう…。


まさか、こんな展開になるとは思わなくて、頭の中はパニック状態だ。


「何?コソコソと覗き見?」


男の子は眉をしかめながら、こちらに向かって歩いてくる。


「ち、ちがっ……」


事情を説明したいけれど、声が上手く出て来ない。


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