二人は甘い初恋関係

なぜなら、こちらに近付いてくる水城君の姿が目に映ったからだ。


み、水城君っ…!!


驚きのあまり、名前を呼びそうになるのを堪えた。


「あ、律矢!今日は登校してくるの早めじゃん。」


「ったく、俺の言葉は無視かよ。」


水城君は、呆れた感じで溜め息を零す。


冷ややかな視線を有川君に向けた。


「俺、小春川に何してたのか聞いてるんだけど。」


「偶然会ったから声掛けてたんだよ!小春ちゃん、可愛いって噂されてる転校生だぜ?ナマで会えたんだから、話ぐらいしたくなるだろ。」


「小春ちゃん…?」


「ほら、小春川だから小春ちゃん。」


「…………。」


にこやかな有川君とは違って、表情を曇らせる水城君。


今日、なんだか機嫌悪そう…。


もしかして、体調…良くないとか…?


ソワソワと心配していると、有川君は、いきなり“あーっ!!”と大きな声を出した。


「そう言えば、律矢…小春ちゃんと同じクラスじゃん!マジ、羨ましいんだけど!」


目を輝かせながら、私を見る有川君。


その視線を遮るように、水城君が私の前にスッと立った。


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