二人は甘い初恋関係
連れて来られたのは、屋上。


柔らかい冬の日差しが注ぐ中、腰を下ろしてパンを食べ始めた。


「なあ、律矢。」


「ん?」


「お前さぁ、小春ちゃんのこと…好きなの?」


いきなり飛んできた質問に驚いた俺は、思わず食べていたパンを喉に詰まらせて、むせてしまった。


「えっ、その反応…まさに図星か?」


「突然、何なんだよ。」


「朝から気になってたんだ。律矢、他の女には見せないような優しい表情を小春ちゃんに向けてただろ?それに……」


そう言った千景は、ニヤリと不敵な笑みを浮かべる。


「お前、俺に嫉妬してるみたいだったから。」


「…!?」


俺が、千景に嫉妬…?


驚きのあまり、瞬きを何度も繰り返した。


「もしや、自覚ナシ?」


「よく分からねぇ。ただ…、千景が馴れ馴れしく小春川のこと呼んだりした時とか、小春川をジロジロ見てる時とか、無性に腹が立ったけど。」


朝のことを思い出しながら素っ気なく呟く。


すると、千景はプッと吹き出すように笑った。


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