二人は甘い初恋関係

「帰るぞ、小春川。」


「わっ…!?」



その声と共に、手を引いて足早に歩き出す水城君。


私は、思わず…手を凝視してしまった。


今、水城君に手を握られちゃってるよ…!


心臓のドキドキっぷりが、握られてる手を通して、水城君に伝わってしまいそうなほどだ。


だけど、不思議…。


この手を“自分から離したい…”って、思わない…。


もしも…転校してきた当初の私だったら、こんな風に手を握られた途端、反射的に直ぐに振り払っていたに違いない。


おそらく、かなりの勢いで。


この心境の変化は、やっぱり…水城君に恋してるからなのかな…。


「……………。」


瞬く間に頬が熱くなっていくのを感じながら、私たちは慌ただしく校舎を出る。


校門の外に出たところで、水城君は足を止めた。


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