二人は甘い初恋関係
「風、冷たっ……」
思わず、口から零れた言葉。
小さな声だったけれど、水城君に聞こえたようで、こちらに視線を向けた。
「だいぶ冷えてきたな…。それ…薄手のマフラーっぽいけど、大丈夫か…?」
「う、うん…大丈夫。」
心配そうな表情の水城君。
私は、慌ててコクコクと頷いた。
今朝、わりと暖かかったから薄手のマフラーをしてきちゃったんだよね…。
こんなに寒くなるなら、もっと厚手のマフラーにすれば良かったな…。
冷たく吹き抜ける風に、少し体を震わせた。
「小春川、体…震えてんじゃん。大丈夫じゃないだろ?」
「ううん、平気!マフラーは薄手だけど、コート着てるから、温かいよ…。」
大丈夫っぷりをアピールしたけれど、水城君は
心配そうな表情を崩さない。
「み、水城君…?私、本当に…」
“大丈夫だよ”
そう言おうとした時、水城君は自分の巻いていたマフラーを素早く外す。
そして、私のマフラーの上にフワリと緩く巻きつけた。