二人は甘い初恋関係
「わ、私なんかで良かったら…宜しくお願いします。」


アタフタしながらも、律儀に頭を下げる小春川。


“私なんか”って、そんなに恐縮しなくてもいいのに…。


俺は、小春川としか行きたくねぇし。


でも、それが今の…俺と小春川の関係性なんだろうな…。


こうして近くに居ても、目には見えない距離がある…。


友達とは言えど、特に親しい仲とか…そういうわけじゃないからな、俺ら。


小春川との距離を手繰り寄せるべく、頑張らねぇと…。


心の中で密かに気合いを入れていると、小春川が急にガバッと頭を上げた。


「あっ、もう一つ…水城君にお礼を言いたかったんだった…!」


小春川は慌てた様子で俺が巻いたマフラーを外すと、丁寧にたたむ。


そして、俺の前に差し出した。



「水城君、マフラー貸してくれて本当にありがとう。寒さも感じなくて、すごくホカホカだった…。」


少し恥ずかしそうな顔で、フワリと微笑む小春川に鼓動が大きく波打つ。


ホカホカ…って、その表現…可愛いすぎるんだけど。


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