二人は甘い初恋関係

「それじゃあ、俺…明日の朝からマンションの前に来るよ。小春川、いつも何時頃に家を出んの?」


「えっと…7時半頃かな。」


「分かった。その時間に、ここで待ってる。」


「あ、あの…わざわざマンションの前まで来てもらうのは悪い気が…。この坂道を下ったT字路の交差点のところで合流する方が水城君も楽じゃない…?」


「そんなことねぇよ。交差点も、マンションの前も、大して変わりねぇから大丈夫。」


適当な理由で取り繕う。


もちろん、本当は…少しでも早く小春川に会いたい…。


ただ、それだけだ。


「う、うん…。じゃあ…ここで待ち合わせで、お願いします…。」


「ああ。んじゃ、明日な。」


俺が軽く手を振ると、小春川も胸元で控えめに手を振り返す。


その姿に微笑ましさを感じながら、俺は小春川のマンションを後にした。


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