二人は甘い初恋関係
「そうだったんだ。ありがとな。」


「えっ、う…うん。」


「あ、これ…俺ん家の食器に移し替えるから、家の中に入って待ってろよ。」


急いで家の鍵を開ける。


俺に続いて佳織も中に入った。


「なんか、温かいもんでも飲むか?」


「ううん、いいよ。食器返してもらったら、直ぐに帰るから。」


「ん、分かった。」


キッチンに行くと、手早く煮物を別の食器に移して、佳織の家の食器を洗って水気を拭き取る。


それを紙袋に戻して玄関先に戻って来ると、佳織はニヤニヤしながら俺を見た。


「ねぇ、律矢。」


「なんだよ、その顔…。」


「小春川さん絡みで、何かいいこと…あったんでしょ?」


佳織の質問にビクリと肩が上がる。


「いきなり、何言ってんだよ。」


「だって、律矢…すごく機嫌がいいんだもん!いつもなら、私がお母さんの料理を持って来ても、飲み物を飲むかどうかなんて、聞いたことないじゃん。“待たせて悪かった”なんて、言われたことないわよ?」


フフッと笑う佳織に、眉をしかめた。


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