二人は甘い初恋関係

「律矢君にとって、小春川さんは特別なのかも…。」


その言葉に、周りの女の子たちが頷く。


「確かに、それは言える。律矢君ファンとしては複雑な心境だけど、小春川さん…癒し系で可愛いし、律矢君にお似合いな気がするもん。」


「そうだね。すごくいいカップルになりそう。」


「あ、あのっ…えっと…」


みんな、話がどんどん違う方向に進んでいってる…。


会話が盛り上がるクラスの女の子たちに、どう対応していいのか分からずにいると、私を囲む女の子たちの輪を割って、眞田さんが入ってきた。


「はいはい、話…そのぐらいにしなよ。次の授業に遅れちゃうよ？」


呆れ顔の眞田さんに、女の子たちは更衣室の壁にある時計を見上げた。


「あっ、本当だ！小春川さん、急にバレンタインの話とかしちゃって、ごめんね。」


女の子たちは申し訳なさそうに謝って、更衣室を慌ただしく出て行く。


その後ろ姿を見ていると、眞田さんが小さな溜め息を零した。