二人は甘い初恋関係

「じゃあ、帰ってゆっくり聞くよ。ありがとな、律矢。」


「おう、またな。」


千景が帰って、静かになった部屋。


ベッドに寝転んだ俺は、ふぅ…と一息ついた。


千景のヤツ、気が早いというか…前向き過ぎる想像力というか…。


「…………。」


だけど、本当にそうなったら…。


もし、小春川からチョコをもらえたら……。


すげぇ、嬉しいんですけど。


思わず口元が緩んでしまった。


……って、チョコをもらえるかどうかは不確定事項だってのに、ニヤケ過ぎだろ…。


落ち着け、落ち着け。


そう言い聞かせながらも、笑みを浮かべてしまう俺がいた。


確実に、千景の前向き過ぎる思考の影響だ。


「…………。」


まあ、期待し過ぎるのはヤバいけど、ほんの少し…期待を持つぐらいならいいよな。


ベッドから起き上がった俺は、カレンダーに視線を向けた。


いつも憂鬱でしかなかった“バレンタイン”だったけど…


今年は、それよりも待ち遠しさの方が勝ってるな…。


いよいよ、小春川に告白だ…。


心を込めて、ストレートに伝えよう…。


素直な気持ちを素直な声で。


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