二人は甘い初恋関係
誰のものでもない水城君
「よしっ、完成…!」
ついにやって来た、バレンタイン当日。
昨日の夜に作ったトリュフチョコにラッピングをするべく、早起きをした私。
作業を終えると、思ったよりも良い出来映えに、顔が綻んでしまった。
上手く出来て良かった…。
ラッピングした小箱は全部で5つ。
水城君に渡す分と、眞田さんや近くの席の女の子たちに配る分だ。
水城君のチョコだけは甘さ控えめのビターチョコになっている。
“好き”の気持ちを込めて作ったチョコ。
受け取ってくれるといいな…。
期待を胸に淡く滲ませながら、ラッピングした5つの小箱を紙袋へと入れた。
水城君、今日はチョコをプレゼントする女の子たちで常に囲まれていそうだし、この後…一緒に登校する時に、思い切って渡した方がいいかも…。
うん、そうしよう。
なんだか、ドキドキしてきちゃった…。
でも、頑張って渡さなくちゃ…!
だんたん加速していく鼓動を感じながら、強く意気込んだ。