二人は甘い初恋関係

「…………。」


か、考えが甘かった…。


午前中の授業が終わって、お昼休み。


教室の入り口付近で女の子たちに囲まれている水城君の姿を自分の席から眺めながら、苦笑いを浮かべた。


今朝、ホームルームの開始を告げるチャイムと同時に教室に入って来た水城君。


その後、休み時間ごとに同じクラスのみならず、他のクラスの女の子たちからも次々とバレンタインチョコをプレゼントされ、その都度…丁寧に断ってる状態だ。


水城君のバレンタイン、想像以上にスゴいな…。


これじゃあ渡す隙が無い…。


っていうか、これまで渡しに来た女の子たちのチョコを全て断ってるのに、私のだけ貰ってくれるなんてこと…あるのかな?


「…………。」


いや、ネガティブに考えちゃダメだ。


受け取ってくれるか、そうでないかは…実際に渡す瞬間まで分からないんだから。


自分自身で、可能性をゼロに設定しようとするのは止めよう…。


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