二人は甘い初恋関係
「小春川さん、今日は溜め息多いけど…大丈夫?」


「だっ、大丈夫!」


隣の席の眞田さんに心配そうに声を掛けられた私は、コクコク頷く。


「原因は、律矢?」


「えっ!?」


「小春川さん、朝から律矢の方を見てることが多いから…。」


眞田さんには適わない。


すぐに見抜かれちゃう…。


まあ、それだけ私が分かりやすいのかもしれないけど…。


「アイツ、今日は…まだ小春川さんに声すら掛けてないもんね…。ったく、挨拶ぐらいしに来いよ…って感じだよね。」


「い、いや…わざわざ挨拶だなんて…。あの状態じゃ、私に声を掛ける余裕とか無いと思うし…。」


「まあ、確かに。毎年、あんな感じなんだよね。」


「チョコ、渡すタイミング…どうしようかな。」


心の中で思ったことが、無意識に小さな声になって零れていたようで、それを聞いた眞田さんが目をキラキラと輝かせた。


「小春川さん、律矢にチョコ…作って来てくれたの!?」


「うっ、うん。あのっ、眞田さんにも作って来たんだ…。良かったら、どうぞ…。」


バッグからチョコの入っている小箱を出して、手渡す。


眞田さんはパアッと顔を綻ばせた。

< 227 / 322 >

この作品をシェア

pagetop