二人は甘い初恋関係
「小春川さん、教室に戻ろ?」
眞田さんに声を掛けられた私は、ハッとして周囲を見回す。
そっか…。
最後の授業は化学だったから、化学室に来てたんだっけ…。
私ってば、水城君にチョコ渡すことしか考えてなかったよ…。
いくら何でも、ボンヤリし過ぎ…。
苦笑いを浮かべながら、化学室を後にした。
「律矢のヤツ、授業が終わると同時に女の子たちに囲まれながら出て行っちゃったね…。さすがに、疲れてるのが表情に出てたなぁ…。」
「疲れるのも無理ないよね…。水城君、大丈夫かな…。」
「大丈夫!このあと、小春川さんと話す時間を作りたいだろうから、最後の力を振り絞って、女の子たちからのチョコを丁寧に断りまくると思うよ。」
すごく疲れてる時に、私がチョコを渡すのって、余計に水城君の疲労度をアップさせることになってしまうような気が…。
でも、渡すって決めたんだし…躊躇ってたら何も始まらないよね…。
うんうん…と心の中で頷いていた時だった。