二人は甘い初恋関係
「突然、声掛けたりしてごめん…。」
「い、いえ…。あの、何か用事…ですか?」
カタコトのような話し方で訊ねると、村澤君はキョロキョロと辺りを見回した。
「ちょっと、小春川さんに話したいことがあって…。7組の隣に空き教室があるから、そこで言いたいんだけど、時間…もらってもいい?」
「は、はい…。」
あまり人には聞かれたくない話ってことなのかな…。
なんだろう…。
私、村澤君とは面識がないから話の内容に全く心当たりが無い…。
何を言われるのか不安になってきた…。
“用事があるから”って、断った方が良かったんだろうか…。
だけど、そんなことばかりして逃げてたら、男の子に対する苦手意識なんて払拭できない。
いつまでも水城君に迷惑かけるわけにはいかないんだから、自分でちゃんと乗り越えなきゃ…。
強く心に言い聞かせながら、村澤君の後に続いて廊下を歩く。
7組の隣の空き教室。
先に教室に入った村澤君に続いて私も入ろうとした時…。
「……小春川!」
後ろから聞き覚えのある声がしたかと思うと、次の瞬間…腕を掴まれた。