二人は甘い初恋関係
悲しい気持ちになるのは、水城君が好きだからなんだろうな…。


みんなの水城君だと言いながら、本心は…独り占めしたい…って、思ってる私がいる。


こんな図々しい感情を知ったら、水城君…嫌な女だって思うに決まってるよ…。



「そ、それじゃあ…私……帰るね。」


溢れそうな涙をこらえて、水城君の傍を離れようとしたけれど…


「待って、小春川!」


水城君に手首を掴まれ、引き留められてしまった。


「ずっと、“私ばかり”って……そんな風に思ってたのか?」


「…………。」


さっき、他のクラスの女の子たちに言われて、今更ながらハッキリと気付いた…だなんて、言えないよ…。


私、あまりにも無神経すぎた…。


俯いて黙っていると、水城君が小さく息を零す。


「そっか…。だったら、色々と躊躇ったりしないで、もっと早く伝えていれば…良かったのかもしれないな…。」


私の手首を掴む水城君の力が、少し強くなった。


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