二人は甘い初恋関係

ゆっくりとしゃがんで、紙袋に手を伸ばす。


中に入っているのは、ラッピングされた小さな箱が一つ…。


水城君に頑張って渡そうと思ってたバレンタインチョコだ。


結局、渡せずに終わっちゃった…。


でも、これで良かったんだよね…。


私の選んだ答えは正しかったんだ…。


そう思いながら紙袋を持ち上げた時、中に入っている小箱の上に、ポタポタと冷たい雫が零れた。


「………っ…」


自分で出した結論でしょ…?


それなのに、どうして…涙が出るの?


こんなに悲しい気持ちで胸がいっぱいになるの…?


紙袋を持って立ち上がった私は、ポロポロと零れる涙を拭いながら足早に歩く。


家に着き、自分の部屋に入った途端…堰をきったように溢れた涙。


その場に座り込んだ私は、膝を抱えて…しばらく泣いていた。




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