二人は甘い初恋関係
それから数日。
小春川とは話せていない日々が続いた。
登下校も一緒にしていない。
ただ、自分の席から小春川を見ることぐらいだ。
本当は、小春川と話したい。
傍で声を聞きたい。
だけど、フラれた俺が馴れ馴れしく話し掛けたりしたら、きっと小春川は不快に思うよな…。
そう思うと何も行動に移せなくて、ただただ沈んだ気持ちで過ごすばかりだった。
そんな中で迎えた、ある日曜日の午後。
部屋のベッドでゴロゴロと横になっていた時、インターホンが鳴り響く。
誰かと思って玄関のドアを開けてみれば、千景と佳織が少し気まずそうな表情をして立っていた。
千景も佳織も休日に突発的に俺の家に来ることは時々あるけれど、二人で揃って来るのは…今日が初めてだ。
「なんだよ、珍しい組み合わせだな。」
「いや、たまたま家の前でバッタリ会ったんだよ。佳織ちゃんも俺も、最近の律矢が気になってさ、ちょっと話をしに来た。」
そう言うと、千景と佳織はズカズカと勝手に家の中に上がり、俺の部屋へと向かった。