二人は甘い初恋関係
「いや、別に千景のせいじゃねぇよ。むしろ、告白に踏み出せずにいた俺の背中を押してくれたことに感謝してるし。」
「律矢…。」
目を潤ませる千景。
ったく、大げさなヤツだな…と苦笑いを浮かべていると、ずっと黙っていた佳織が口を開いた。
「……不思議、なんだよね。」
「千景が?コイツ、感極まると泣く時あるぜ?」
「違うわよ!千景君じゃなくて、小春川さんのこと…!」
「は?何がだよ。」
訳が分からず、首を傾げる。
“小春川”に反応して自然に体が前のめりになった。
「小春川さん、律矢の告白を断る雰囲気なんて、なかったから。」
「そんなの、なんで佳織に分かるんだよ。」
「だって、小春川さん…バレンタインの日に律矢に渡すチョコ、持ってきてたんだよ?しかも、手作りチョコ…。」
「えっ…」
小春川が…?
驚きのあまり、目を見開いてしまった。