二人は甘い初恋関係
「そうは言っても、実際のところ…俺はチョコを貰ってないし、告白だって断られたわけだし……。」
「だから、律矢も不思議に思わない?」
「不思議っていうか…、気が変わったのかもしれないだろ。女子に囲まれてチョコ攻めになってる俺を見たら、渡す気も失せたとか…。」
「でも、あんな短時間で…?」
「は?」
納得していない表情を浮かべる佳織。
言葉の意味が分からず、首を傾げる。
「私、あの日…最後の授業の化学が終わった後、小春川さんと一緒に化学室を出たんだ…。だけど、途中で垣内先生に用事を頼まれて、小春川さんも手伝うって言ってくれたんだけど、私一人で大丈夫だから…って言ったんだよね。」
「…………。」
「その時に、“律矢が教室で小春川さんを待ってるかもしれないから、早く行った方がいいよ”って言ったら、小春川さん…嬉しそうに笑って教室に戻って行ったの…。」
嬉しそうに…?
でも、俺と話してた時は気まずそうな感じで、曇った表情してた…。
あの時の小春川を思い出していると、千景が“うーん…”と唸った。
「確かに、それ…ちょっとおかしくねぇか?」