二人は甘い初恋関係

「でしょ!?千景君も、そう思うよね!」


「ああ。だって…小春ちゃんが、佳織ちゃんと別れた後…教室に戻るまでの時間なんて数分だろ?その間に急に気持ちが変わるなんて、考えにくいと思う。」


「だよね!」


共感して頷く佳織。


二人のやり取りを黙って聞いていると、千景が少し眉をしかめた。


「あくまで俺の想像なんだけどさ、小春ちゃん…律矢に会う前に、誰かに何か言われたんじゃねぇか?」


「誰か…って、誰だよ。」


「いや…分からねぇけど、例えば、お前のファンの女子とか。だってさ、そうでもなきゃ…小春ちゃんの様子が急変する理由って、説明がつきにくくないか?」


「…………。」


確かに、絶対に無いとは言えない…。


「律矢、教室で小春ちゃんを待ってたんだろ?なんか、廊下で揉めてる声とか、何か聞こえなかったのか?」


「俺、教室に居なかったんだよな。しつこくチョコを渡そうとする女子がいて、校内を逃げ回ってたから。上手く撒いて教室に戻って来た時には、小春川が村澤と空き教室に入ろうとしてるのが見えて、急いで阻止したんだ…。」


村澤に告白させたくなくて、かなり必死だったな…俺。


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