二人は甘い初恋関係

翌日以降も、俺は朝や帰りの挨拶だけ声を掛けた。


小春川は戸惑いながらではあるけれど、挨拶を返してくれる。


それだけでも、嬉しかった。


そんな日が一週間ほど続いていた、ある日の放課後…。


「いや~、悪いな…律矢。」


「本当だよ、ったく…。」


最後の授業の体育で転倒して足にケガをした…という千景に、保健室まで一緒に来て欲しいと頼まれ、渋々…付き添うことになった俺。


盛大に溜め息を零した。


「だいたい、なんで俺がお前に付き添うハメになるんだよ。」


「今日、午後は保健室の先生が不在らしいんだよ。だから、消毒薬とか絆創膏とか…保健委員の律矢なら分かるだろうと思ってさ。」


「保健委員なら7組にもいるだろうが。」


「まあまあ、冷たいこと言うなって!俺は、律矢の方がいいんだよ。」


単に、頼みやすい…ってだけだろ。


そう思いつつも、コイツに付き合ってるんだから、甘いよな…俺は。


思わず苦笑いを零しながら、保健室の前までやって来た時だった。


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