二人は甘い初恋関係
「律矢!」
教室に着くと、残っていたのは…佳織ひとりだけ。
俺の姿を見るなり、何やら怒った様子でこちらに駆け寄って来た。
「もう、一体どこに行ってたのよ!携帯に電話しても全然出ないし!」
「千景がケガして保健室に付き合えって言うから行ってたんだよ。携帯はバッグの中に入れっぱなしだから…。」
自分の席の上に置いてあるバッグを指差すと、佳織から溜め息が零れる。
「それじゃあ、携帯の意味ないでしょ…。」
「さっきから何を怒ってんだよ。それに、お前…教室に一人で残って何してたわけ?」
全く状況が把握出来ない俺。
質問すると、佳織は俺の目の前に素早く何かを差し出す。
それは、日誌だった。
「私は…日直の小春川さんの代わりに、これを書いてたの…。」
「は?」
「小春川さん、体調悪いみたいでさ…。ちょっと熱もありそうな感じだったから、先に帰ってもらったんだ…。早く休んだ方がいいと思って…。」
「えっ…」
思わぬ言葉に目を見開いた。